OIR BIM – 組織情報要件
ISO 19650のOIRを理解し、戦略目標に不可欠な情報を定義してアセット管理を最適化しましょう。openBIMを活用して円滑なデータの流れと意思決定の向上を実現します。
今日の建設業界において、情報を適切に扱うことは単なる「あればよいもの」ではなく、必須事項です。重要なISO 19650規格に沿った情報整理の最上位に位置するのが、組織情報要件(OIR)です。OIRは単なる技術文書ではなく、企業にとっての地図のようなものであり、主要な事業目標を達成し、建物やアセットから最大限の価値を引き出すためにどのような情報が必要かを示します。
OIR BIMとは何か?
組織情報要件(OIR)とは、企業が抱える主要な情報ニーズであり、その大局的な目標に直接結びつくものです。BIMにおいて、OIRは企業が長期的な目的を達成するために収集、管理、活用すべき情報を明確にします。こうした目的には、事業運営の方法、建物の管理方法、規則の遵守、方針の策定などが含まれます。
単一のプロジェクトに必要な情報とは異なり、OIRは企業全体を対象とします。次のような重要な問いを投げかけます。
- 当社が効率的に運営するために、どのような情報が必要か?
- 建設アセットのライフサイクル全体を通じて、効果的なアセット管理と意思決定に不可欠なデータは何か?
- 持続可能性、コスト削減、顧客満足度の向上といった戦略目標を、情報はどのように支援できるか?
このようにOIRは、他のすべての情報ニーズにおける最初で最も重要な一歩です。これにはアセット情報モデル(AIM)や発注者情報要件(EIR BIM)のための情報が含まれ、それらがプロジェクト情報要件(PIR BIM)へとつながっていきます。このトップダウンの手法により、プロジェクトで生成・共有されるすべての情報が、企業の主要な計画に直接貢献するようになります。
ISO 19650フレームワークにおけるOIRの位置づけ
BIMを用いた情報管理の国際規格であるISO 19650は、明確な情報要件の確立を非常に重視しています。OIRは、この階層構造における出発点として明確に定義されています。OIRは、より詳細な情報要件を導き出すための戦略的な文脈を提供します。
これは情報の指揮系統のようなものと考えてください。
- 組織情報要件(OIR):戦略上の「なぜ」。組織はなぜ情報を必要とするのか?その包括的な事業目標は何か?
- アセット情報要件(AIR):OIRから導き出され、AIRは組織のアセットを運用寿命全体を通じて効果的に管理・運用するために必要な情報を定義します。
- プロジェクト情報要件(PIR):OIRとAIRの両方に由来し、PIRは組織の戦略およびアセット管理の目的を達成するために、特定のプロジェクトから必要とされる情報を明確にします。
- 発注者情報要件(EIR BIM):任命当事者が発行するこの文書は、特定の任命または契約に対して納入チームが提供しなければならない情報を詳細に定めます。PIRを、プロジェクトで実行可能な要件へと変換します。
この構造化された手法は、堅牢な建設データ管理戦略によって支えられ、情報が場当たり的に収集されるのではなく、目的をもって価値のあるものとして扱われ、組織の戦略的成功に直接貢献することを保証します。
OIRとopenBIMの力
ISO 19650はどのような情報がなぜ必要かを教えてくれますが、その情報を多様なプロジェクト、チーム、デジタルツール間で確実に流通させる方法については未解決のままにしています。OIRで定められた目標を真に達成するには、特に複数のプロジェクトにまたがり、さまざまなチームやソフトウェアを用いる場合、openBIMという概念が不可欠になります。
openBIMとは、IFC(Industry Foundation Classes)のようなオープン標準や共通データ形式の利用に重点を置いた働き方です。使用するソフトウェアに関係なく、プロジェクトに関わるすべての人が情報を容易に共有・活用できるようにすることを目的としています。異なるツール間の障壁を取り払い、より円滑なチームワークを可能にします。
OIRはopenBIMとどのように結びつくのでしょうか?
- データの利用可能性の確保:OIRが長期的なアセット管理のために情報を必要とすると定めている場合、openBIMはソフトウェアが変わっても、その情報が数十年にわたって利用可能かつアクセス可能であり続ける道筋を提供します。データが特定のプログラムに「閉じ込められる」ことを防ぎます。
- 協働の支援:OIRはしばしば多くの異なる情報源やチームからの情報を必要とします。openBIMは、異なるソフトウェアが共有されたオープン形式を通じて互いに「対話」できるようにすることで、この協働を容易にします。これにより、すべての関係者がOIRで定義された情報に貢献し、アクセスできるようになります。
- 情報の将来性の確保:情報を「オープン」な方法で管理できるよう求めることで、OIRは回復力の基準を打ち立てます。つまり、プロジェクト中に収集された貴重なデータがアセットの寿命全体を通じて有用であり続け、将来の意思決定や運用を支えるということです。
- 選択の促進:OIRがopenBIMの原則に沿っていれば、組織は特定のブランドの使用を強制されることなく、それぞれの作業に最適なソフトウェアやツールを選べるようになります。これはイノベーションを促し、単一ベンダーへの固定化を回避します。
このようにOIRが情報ニーズの「なぜ」と「何を」を示す一方で、openBIMはその情報を建物やインフラの寿命全体を通じて真に共有可能で、利用可能で、価値あるものにする「どのように」を提供します。それは、業界のすべての人にとっての共通言語を築くことなのです。
包括的なOIRの策定:主な検討事項
効果的なOIRの作成には、協働的かつ学際的な取り組みが求められます。経営層、アセット管理チーム、運用スタッフ、ITなど、組織全体のさまざまな部門と関係者からの意見が必要です。主な検討事項は以下のとおりです。
- 戦略的整合性:OIRは組織の戦略的な事業目標に直接結びついていなければなりません。これには、情報がどのようにしてより良い意思決定を可能にし、リソース配分を最適化し、業績を向上させるかを理解することが含まれます。
- 現在と将来のニーズ:目前の運用ニーズに対応するだけでなく、OIRは新技術の導入や進化する規制環境といった将来の要件も見越すべきです。この先見性は、長期的なデジタルトランスフォーメーションにとって極めて重要です。
- 情報の目的と用途:特定された各情報について、OIRはその目的とどのように使用されるかを明確に定義すべきです。この明確さが、冗長または無関係なデータの収集を防ぎます。
- データ標準とプロトコル:OIRはデータ品質、形式、一貫性に関する基礎的なガイドラインを確立すべきです。これにより、構造化されたアセット情報のためのCOBieのような標準の採用や、必要な情報要求レベルの定義への道が開かれます。
- 既存のシステムとプロセス:既存の情報システムとワークフローの評価は、ギャップと改善機会を特定するために不可欠です。OIRは、新しい情報管理手法を既存システムと統合する道筋を整えるべきです。
- 責任と説明責任:情報の生成、管理、利用に関する明確な役割と責任を定めることが重要です。RACI BIMマトリックスは、ここで有用なツールとなり得ます。
明確に定義されたOIRの利点
包括的なOIRの策定に費やされた労力は、多大な利益をもたらし、デジタルトランスフォーメーションを推進し、組織全体の業績を向上させます。
- 意思決定の改善:戦略レベルで情報ニーズを明確にすることで、組織は適切なデータを適切なタイミングで入手でき、アセット管理、設備投資、運用効率に関して、より的確で先を見越した意思決定が可能になります。
- アセット性能の向上:明確に定義されたOIRは、効果的なアセットの運用と保守に必要な情報がプロジェクトのライフサイクル全体を通じて確実に取得されるようにし、アセット性能の向上、ダウンタイムの削減、アセット寿命の延長につながります。
- 情報の流れの円滑化:OIRは情報交換の明確なロードマップを提供し、重複、エラー、不整合を減らします。これにより、より効率的な建設データ管理プロセスに貢献します。
- リスクとコストの削減:情報ニーズを早期に見越すことで、組織はデータの欠落や不正確さに伴うリスクを軽減でき、手戻り、遅延、コスト超過を減らせます。また、建設環境管理計画に関連するものなど、進化する規制への準拠も支援します。
- 協働の強化:明確なOIRは、共通の情報目標について全員の足並みをそろえることで、社内部門と社外のプロジェクト関係者との協働を促進します。これは堅牢なBIMプロトコルの遵守によってさらに高まります。
- BIM成熟度の基盤:OIRは、単なる3Dモデリングを超えて統合的な情報管理と高度な協働ワークフローへと進むために、組織のBIMレベル成熟度を高める重要な要因です。また、オブジェクトの一意な識別のためのGUID BIMのような概念の実装も支援します。
まとめ
組織情報要件(OIR)は単なる官僚的な手続きではなく、現代の建設業界で成功を目指すあらゆる組織にとっての戦略的必須事項です。事業目標を達成するためにどのような情報が必要かを明確に定義することで、組織は効果的な情報管理の強固な基盤を築き、協働を促進し、BIMの潜在能力を最大限に引き出すことができます。Catenda Hubのようなプラットフォームを活用すれば、戦略的意図からOIRの実践的な実装への道のりが円滑で非常に有益なものとなり、貴重な情報が建築環境のライフサイクル全体を通じて真のアセットとして機能するようになります。
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